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介護保険部会の議論の動き・注目すべきトピックスを確認しておきましょう

介護保険部会の議論はいよいよ大詰めへ

2024年度の介護保険法改正・報酬改定を視野に、2022年12月にまとめられる「介護保険制度の見直しに関する意見」。それらの整理・公表に向け、議論の大詰めを迎えている社会保障審議会・介護保険部会において、11月14日(月)と24日(木)、「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について」というテーマに基づき、広範囲な議論が行われました。

そこで配布された資料(=上記と同じ「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について」というタイトルの資料)は、先ずは「総論」の整理から始まり、続いてその整理に基づいた「検討の方向性」が提起される、という形式で構成されています。

今回は、その「検討の方向性」の中で、実行された場合には介護事業者の経営にも大きく関係してくるであろう4つのポイントを抜粋し、皆様にお伝えしてまいります。




「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進について」注目すべきポイントとは

では、早速、中身の確認に入ってまいりましょう。
先ずは、「在宅サービスの基盤整備」という論点の中からの抜粋です(重要ポイントについては太字としています。以下の論点も同じ)。

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〇 単身・独居や高齢者のみの世帯の増加、介護ニーズが急増する大都市部の状況等を踏まえ、柔軟なサービス提供によるケアの質の向上や、家族負担の軽減に資するよう、地域の実情に合わせて、既存資源等を活用した複合的な在宅サービスの整備を進めていくことが重要ではないか。
〇 その際、例えば、特に都市部における居宅要介護者の様々な介護ニーズに柔軟に対応できるよう、 複数の在宅サービス(訪問や通所)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討してはどうか。
また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているサービスについては、将来的な統合・整理に向けて検討してはどうか。

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過去に幾度か議論の俎上に上がったものの、いまだ成立していない「通所+訪問」の複合型サービス。とはいえ、コロナ禍に伴う臨時的な特例措置として「通所+訪問」という枠組みが認められていたこと等を考えると、或る意味、本テーマの伏線は既に敷かれていた、と見ることもできるのかもしれません。

ただし、「そもそもデイサービスの職員が率先して訪問介護に行くのだろうか?」「(夜勤職員の確保が不要となること含め)小規模多機能からの転換希望が増えた場合、地域資源の脆弱化につながらないか?」「ただでさえ職員確保が困難を極めている訪問介護において、徒(いたずら)に競争激化を誘発するだけではないか?」等々、検討すべき課題は幾つも存在しています。

この辺り、成立の暁には様々な影響が出てくることは必至であり、その意味でも今後、特に来年度の介護給付費分科会での議論の推移を注視する必要があるでしょう。

次に2つ目の論点、「ケアマネジメントの質の向上」についてです。

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〇 ケアマネジメントの質の向上の観点から、法定研修のカリキュラムの見直しを見据えた適切なケアマネジメント手法の更なる普及・定着を図るとともに、オンライン化の推進など研修を受講しやすい環境を整備していくことが重要ではないか。
また、介護サービス全体として、科学的介護が推進されているところ、ケアマネジメントについてもケアプラン情報の利活用を通じて質の向上を図っていくこととしてはどうか。

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ケアプランのAI化が進んでいる背景も考えると、「更なる“科学"を促進するため、通所介護の“LIFE"のようなスキームがケアマネジメントにも導入される」という仮説は十分に成立するかもしれません。この辺りも着目しておいた方が良いポイントであることは間違いないでしょう。

続いて3番目のポイント、「財務状況の見える化」についてです。

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〇 介護サービス事業者について、
・ 介護サービス事業者の経営状況をもとに、国民に対して介護が置かれている現状・実態の理解の促進・介護サービス事業者の経営状況の実態を踏まえた、効率的かつ持続可能な介護サービス提供体制の構築のための政策の検討
・ 物価上昇や災害、新興感染症等に当たり経営影響を踏まえた的確な支援策の検討
・ 実態を踏まえた介護従事者等の処遇の適正化に向けた検討
・ 介護報酬に関する基礎資料である介護事業実態調査の補完
に活用することが可能となるという観点から、経営情報を収集・把握することは重要。
また、介護サービス事業者側も、マクロデータを自事業所の経営指標と比較することで、経営課題の分析にも活用可能と考えられる。

〇 介護サービス事業者については、財務状況の見える化を図る観点から、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日閣議決定)及び 「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)において、医療法人とともに以下のとおり記載されている。
・骨太の方針2021
「医療法人の事業報告書等をアップロードで届出・公表する全国的な電子開示システムを早急に整え、感染症による医療機関への影響等を早期に分析できる体制を構
築する。同様に、介護サービス事業者についても、事業報告書等のアップロードによる取扱いも含めた届出・公表を義務化し、分析できる体制を構築する。」
・骨太の方針2022
「経営実態の透明化の観点から、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備するとともに、処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講じる。」

〇 介護サービス情報公表制度について、利用者の選択に資する情報提供という観点から、社会福祉法人や障害福祉サービス事業者が法令の規定により事業所等の財務状況を公表することとされていることを踏まえて、介護サービス事業者についても同様に財務状況を公表することを検討してはどうか。併せて、介護サービス情報公表制度は利用者等のサービス選択において広く活用されているところ、各施設・事業所の従事者の情報について、現行においても職種別の従事者の数や従事者の経験年数等が公表されていることも踏まえ、一人当たりの賃金等についても公表の対象に追加してはどうか。

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「どのような指標を、どのような目的に基づいて公表するのか?」或いは、「公表された数値の信憑性をどのような方法で担保するのか?」等々、営利・非営利のバラつきも大きく、また、中小零細規模の事業者が圧倒的大多数である介護業界において実効性の高いシステムを構築するのはかなりハードルが高そうな印象を覚えます。

とはいえ、これらが論点に上がり、しかも、国の羅針盤である「骨太方針2021・同2022」にも明示されていることを考えると、この点も今後の議論の推移を追いかける必要がある重要ポイント捉えることが出来るでしょう。

最後に4番目の論点、「地域包括支援センターの体制整備等」についてを確認してまいりましょう。

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〇 認知症高齢者の家族を含めた家族介護者の支援の充実のためには、地域包括支援センターの総合相談支援機能を活用することが重要であり、センターが果たすべき役割に応じて適切に業務を行えるよう、体制整備と業務負担軽減を推進するべきではないか。また、家族介護者支援においては、地域包括支援センターのみならず、認知症対応型共同生活介護などの地域拠点が行う伴走型支援、認知症カフェの活動、介護支援専門員による仕事と介護の両立支援などの取組との連携を図ることが重要ではないか。

〇 こうした地域包括支援センターの業務負担軽減を進めるに当たり、介護予防支援業務の負担が大きいことや地域包括支援センターからの委託に困難を感じている市町村があることを踏まえ、地域包括支援センター以外にも介護予防支援の指定対象を拡大することを含めて検討することについて、どう考えるか。また、検討に当たって、地域包括支援センターが地域の生活支援・介護予防の支援を一体的に行うためには、現行の委託方式による実施と同様に、介護予防支援の実施状況の把握など、一定の関与を担保するという観点も必要ではないか。

〇 介護予防ケアマネジメントの質の確保を図りつつ業務効率化を図る観点から、総合事業として市町村が実施する介護予防ケアマネジメントAについて、初回のモニタリング時に、利用者の状態像、目標、利用すべきサービス等の大きな変化がないと認められる場合に限り、介護予防ケアマネジメントBと同様、サービス担当者会議の省略や次回モニタリング時期の延長等を可能としてはどうか。
(※)介護予防ケアマネジメントA: 予防給付の介護予防支援と同様、アセスメントによってケアプラン原案を作成し、サービス担当者会議を経て決定する。モニタリングは少なくとも3ヶ月ごとに1回等を行う。
(対象:従前相当サービス、指定事業者による緩和型サービス(サービスA)、短期集中サービス(サービスC))
介護予防ケアマネジメントB: アセスメントからケアプラン原案作成まではケアマネジメントAと同様。サービス担当者会議の省略等の簡略化やモニタリング時期を必要に応じて設定できるなど簡略化。(対象:多様な主体による緩和型サービス等)

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「居宅介護支援事業所が包括支援センターからの委託ではなく、直接介護予防のケアマネジメントを担当することが出来るようになる(=介護予防ケアマネジメントの報酬を満額受け取ることが出来るようになる)」「(条件付きではあるものの)担当者会議やモニタリングの頻度について運用の柔軟化を図ることで、新規指定促進のインセンティブを設ける」・・・・特にケアマネ事業所を有している法人にとっては、期待を持って今後の議論の推移を見守ることが重要になるかもしれないな、と感じる次第です。




早めにシミュレーションを行い、十分な思考時間の確保を

以上、介護保険部会の議論から、重要だと思われる論点を抜粋してお伝えさせていただきました。今回は4点を抜粋させていただきましたが、関心を覚えるテーマ・領域は各事業者によって異なる可能性も高いため、是非、ザっとでも結構ですので下記リンクの資料の前ページに目を通すことをお勧めする次第です(熟読しても1時間もかからないかと思います)。

勿論、現時点の情報はあくまでも“検討の方向性"であり、2024年度法改正・報酬改定にこれら全てが反映される訳ではありません。しかし、「もしこの論点が進んだ場合、自社にとってはプラスに働くのか?それもマイナスに働くのか?」「もし、マイナスに働くとするなら、どのような対策が考えられるか?」等について早め早めにシミュレーションを行うことは、次期改正に反映される・されないに関わらず、間違いなく経営の安定化につながることと思います。

その意味からも是非、早めに経営者のみならず幹部メンバーとも共有し、組織として思考を深めていく一つの契機として本情報を活用いただければ幸いです。今後、我々も本テーマについてしっかりと追いかけ、有益な情報が見つかれば引き続きお伝えしてまいります。


※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001015831.pdf


(2022-11-30)

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